水原一平さんは、ロサンゼルス・エンゼルス時代からロサンゼルス・ドジャース移籍後まで、長年にわたり大谷翔平選手の専属通訳として知られてきた人物です。
通訳という枠を超え、スケジュール管理やトレーニングのサポート、生活面のケアまで担っていたことで「大谷の右腕」とも呼ばれる存在でした。
一方で、二〇二四年に違法賭博と巨額窃盗の事件が発覚し、二〇二五年には有罪判決と実刑・巨額の賠償命令が下されています。
事件のインパクトがあまりに大きいため「そもそも通訳としてどれくらいの年収を得ていたのか」が改めて注目されることになりました。
この記事では、公表されている裁判資料や報道をもとに、水原一平さんの「通訳としての正規の年収」を中心に整理し、現在の状況も含めてわかりやすく解説します。
◆ 水原一平のプロフィールとキャリアの概要
水原一平さんは日本生まれ、アメリカ・カリフォルニア育ちで、日英バイリンガルとして育った人物です。
日本ハム在籍時代の大谷翔平選手と出会い、その後メジャー移籍に合わせてエンゼルスへ同行し、専属通訳として本格的にキャリアをスタートさせました。
・エンゼルスで大谷選手の通訳兼サポート役として活動
・ベンチ入りして試合中も常に大谷選手のそばにいる「帯同スタッフ」的な役割
・二〇二三年のWBCでも侍ジャパンの通訳を務め、国際舞台でも活躍
・二〇二四年、大谷選手のドジャース移籍に合わせて球団を移り、破格の条件で契約予定だった
通訳としては非常に特殊なポジションであり、「単なる翻訳」以上の役割を担っていたことが高い待遇にもつながっていたと考えられます。
◆ エンゼルス時代の年収は一三〇〇万〜一六〇〇万円前後
裁判所に提出された書面などによると、水原一平さんがエンゼルスから受け取っていた年俸は、次のように明らかにされています。
・二〇一八年 年俸 8万5000ドル前後(およそ一三〇〇万円台)
・二〇一九〜二〇二一年 年俸 8万7000ドル前後(およそ一三五〇万円台)
・二〇二二年 年俸 約9万9600ドル(およそ一五〇〇〜一六〇〇万円)
いわゆる「通訳」という職種としては、アメリカのスポーツ界の一般的な相場(年収数百万円〜一〇〇〇万円前後)よりもかなり高水準とされています。
この時期は、
・球団からの年俸(一三〇〇万〜一六〇〇万円前後)
・遠征や業務に伴う経費精算
・一部、大谷選手個人からの手当
といった収入で生活していたとみられ、「通訳としてはかなり恵まれた年収レンジ」にいたと言えるでしょう。
◆ 二〇二三年には約三九〇〇万円 二〇二四年は七七〇〇万円が予定されていた
事件発覚直前のエンゼルス最終年と、ドジャース移籍後に予定されていた年俸は、さらに高額になっていました。
・二〇二三年 年俸 25万ドル(およそ三八〇〇〜三九〇〇万円)
・二〇二四年 ドジャースと年俸 50万ドル(約七五〇〇〜七七〇〇万円)の契約予定
日本のメディアでも「大谷通訳として年収七五〇〇万円」「通訳にしては異例の高待遇」といった報道が相次ぎ、通訳職としては破格と言えるレベルだったことがわかります。
この金額はあくまで球団からの年俸ベースであり、これとは別に大谷選手個人からの手当もあったとされています。
◆ 大谷翔平からの個人手当を含めた「実質年収」のイメージ
水原一平さんは、裁判に提出した書面の中で、大谷翔平選手からの個人的な支払いについても明かしています。
・オフシーズン(10〜1月)には毎月約40万円
・シーズン中(2〜9月)には毎月約2万円
・合計すると年間約1万1000ドル(約一七〇万円前後)の「援助」があった
この数字を踏まえると、
・エンゼルス後期(二〇二二〜二〇二三年)
→ 球団年俸(一五〇〇万〜三九〇〇万円)
→ プラス大谷選手からの個人手当(約一七〇万円)
→ 実質的な年収は約一七〇〇万〜四〇〇〇万円前後
・ドジャース移籍後(二〇二四年に予定されていた条件)
→ 球団年俸 約七五〇〇〜七七〇〇万円
→ プラス個人手当などを含めると
→ ピーク時の正規年収はおよそ八〇〇〇万円前後に達する水準
というイメージになります。
いわゆる「通訳」という枠で見れば、世界トップクラスの待遇だったことは間違いありません。
◆ 違法賭博と巨額窃盗で崩れたキャリアと「見かけ上のキャッシュフロー」
ここからは「年収」というより事件の背景ですが、収入との関係を語るうえで欠かせない部分です。
アメリカ当局の発表などによれば、水原一平さんは二〇二一年前後から違法なスポーツ賭博にのめり込み、最終的には
・違法ブックメーカーへの賭けで四千万ドル超を投じる
・大谷選手の銀行口座から、約一七〇〇万ドル(約二六億円前後)を不正送金した
とされています。
ここで重要なのは、
これらの不正送金は「年収」ではなく、
刑事上は窃盗・詐欺として扱われる“犯罪による取得資金”であり、
最終的に返還義務と刑事罰の対象になっている
という点です。
表面的には「多額のお金を動かしていた」ように見えますが、合法的に得た収入とはまったく別物であり、長期的にはむしろマイナスの要因でしかありません。
◆ 有罪判決と現在の状況 年収は実質ゼロどころかマイナスに
二〇二五年二月、アメリカ連邦裁判所は水原一平さんに対し、
・銀行詐欺と納税関連の罪で有罪
・四年九か月(57か月)の禁錮刑
・約1800万ドル(約二七億円前後)の賠償・追徴(うち約1700万ドルを大谷選手に返還)
といった内容の判決を言い渡しました。
その後、二〇二五年六月には連邦刑務所に収監されたことが報じられており、少なくとも服役中は通常の就労収入はほぼ見込めません。
したがって、
・ドジャースと結んでいた高額年俸契約は解雇により消滅
・違法に得た資金は「賠償金」として返還義務を負う
・刑務所内でのわずかな作業報酬を除けば、実質的な年収はゼロに近い
・むしろ巨額の債務(賠償金)を抱えた「マイナスのスタートライン」に立っている
というのが現在の経済状況だと考えられます。
◆ まとめ 水原一平 年収から見える「世界トップクラスの待遇」と「失われたキャリア」
ここまでの情報を整理すると、水原一平さんの「正規の年収」をめぐるポイントは次の通りです。
・エンゼルス初年度の年俸はおよそ一三〇〇万円台
・エンゼルス後期は一五〇〇万〜一六〇〇万円前後の年俸
・二〇二三年には約三九〇〇万円、通訳としてはかなり高額なゾーン
・二〇二四年ドジャースでは年俸約七五〇〇〜七七〇〇万円が予定されていた
・大谷翔平選手からの個人手当を含めると、
ピーク時の「通訳としての正規年収」はおよそ八〇〇〇万円前後と推定される
一方で、
・違法賭博のために大谷選手の口座から約一七〇〇万ドルを不正送金
・結果として有罪判決、服役、約1800万ドルの賠償命令
・二〇二五年現在、実質的な年収はほぼゼロ、むしろ巨額のマイナスを背負った状態
となっており、「世界トップクラスの待遇を得ていた通訳が、自らの行為によってキャリアと経済基盤を失った」という非常に象徴的なケースになっています。
「水原一平 年収」という切り口で見てみると、
単に“通訳の給料がいくらだったか”という話にとどまらず、
高収入とギャンブル依存、信用の喪失と賠償義務という、
現代スポーツビジネスの影の部分が浮かび上がってきます。


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